fall in the love can say nobody

彼女はひそかに恋をしていた。

とても叶わない恋。

見るのは一方的で、まるで会ったことのない相手。

声が聞けるとすれば、ヘッドフォン越しの歌声。

秋の少し寒くなる予感のする風に当たりながら、

思わず流れる大好きな曲に涙が出そうになる。


いつか出会えそうな気がする。


そんな世の中の偶然を集めても叶いそうのないことを、

彼女は平気で妄想する。

しばらくしてその妄想に悲しくなるのだけど。

彼女はすっかり、恋をしてしまった。



そんな彼女の話。